上手な贈与の利用方法
相続と贈与どちらが得か?
生前贈与とは、生きているうちに無償で財産を人に譲ることをいいます。
つまり、単なる「贈与」のことですが、遺言によって死後に財産を譲る「遺贈」や自分が死んだ後に財産を与える契約を生前に相手方としておく「死因贈与」と区別するための用語です。
生前贈与の注意点
生前贈与の際の注意点として、次の4点を確認する必要があります。
1. 贈与税と相続税の節税額の分岐点を確認しておくこと
2. 遺産分割の際に特別受益などのトラブルとならないように注意すること
3. 贈与契約書を作成し公証人役場で確定日付を取っておくこと
4. 相続開始前7年以内の相続人に対する贈与は相続財産として加算されることを確認すること
生前贈与で大きな問題となるのは贈与税です。贈与税は暦年課税で、1 年間の基礎控除額が110 万円です。つまり、年間で110 万円以下の贈与については課税されず、申告も不要です。贈与する人の財産を徐々に減らすことができるため、一番シンプルな相続税対策だといえます。なお、贈与税の税率表は下記のとおりです。
贈与税の税率表(2024年時点) |
||||
基礎控除後の 課税価格 ※ |
一般贈与 | 特例贈与※ | ||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
200万円以下 | 10% | - | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 400万円 | 55% | 640万円 |
※110万円の基礎控除額を引いた残りの贈与額について課税されます。 ※特例贈与は、20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合です。 |
特例贈与制度の活用
直系尊属からの贈与に関する特例として、次の非課税制度や控除を活用することができます。
①住宅取得資金の贈与に対する非課税制度
親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定額まで非課税となる制度です。
②婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産やその取得資金を贈与した場合、最高2,000万円まで非課税となります。
③相続時精算課税制度
60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫に財産を贈与する場合、通算2,500万円までの贈与に対して贈与税がかからない「相続時精算課税制度」を利用できます。2,500万円を超えた部分については、一律20%の贈与税が課されますが、相続時にこれらの贈与額を加算して相続税を計算します。
実際の生前贈与の方法はケースバイケースで、贈与物や贈与者と受贈者の関係、贈与税の額、更には贈与時期などを考えた上で手続きを踏んでいくことになります。
贈与契約書を作成し、適切な手続きを踏むことで、節税対策としての効果を最大限に発揮することができます。
この記事を担当した税理士
- 税理士法人浜村会計 代表税理士 浜村美香
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保有資格 税理士 専門分野 相続業務
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